第30回 AMD Award ’24
優秀賞
- 駅ピアノ 空港ピアノ 街角ピアノ
[受賞者]
NHK
NHKグローバルメディアサービス
デジタルSKIPステーション

授賞理由
日常にそっと寄り添う温かく、そして心揺さぶられる本作品では、置かれたピアノを囲み、人々はそれぞれの想いを音に乗せて奏でる。プロの演奏家から音楽初心者まで様々な人々が音を奏でる瞬間は、まさに予測不可能で心を惹きつけ、人生の詰まった音色を通して私たちは人々の感情や物語に触れることができる。番組は音楽の力だけでなく、人々の優しさや繋がりも描いており、偶然出会った人々が音楽を通じて心を通わせる姿は、私たちに温かい気持ちを与える。デジタル疲れが人々の心に影を落とす中、音楽の力、そして人々の優しさに触れられる、貴重な時間を提供してくれる王道のドキュメンタリー番組として評価する。
受賞コメント
このような栄えある賞を頂き、大変光栄です。ありがとうございます。
この番組は、世界各地の駅や空港、街角に置かれた“誰でも自由に弾くことができるピアノ“に集う人々を定点カメラで見つめたノーナレーションのドキュメンタリーです。そこに集まるのは、人種や国籍、年齢も様々。ただ共通するのは「ピアノを弾きたい」「音楽が好き」ということです。主観を極力廃したシンプルな演出で、弾く人のプロフィールと演奏で構成する手法が幅広い視聴者に受け入れられました。「癒やされました」「勇気をもらった」「演奏者の多様性に驚いた」「大好きな番組」など、毎回、大きな反響が得られています。今後もこの賞を励みに、スタッフ一同、努力を重ね、1台のピアノを通して、音楽の魅力や人生の豊かさを伝えていきたいと思います。受賞作品紹介
2017年、イタリア・シチリア島のパレルモ空港から始まって、この8年間で世界19カ国60カ所のピアノを取材してきました。企画のきっかけは、ディレクターが海外取材で空港を利用した 際、誰でも自由に弾けるピアノがあるのを見つけ、「弾いているのはどんな人だろう?」「なぜこの曲を弾くのだろう?」と興味がわき、提案したことです。以来、1台のピアノから生まれる “一期一会”の物語に目を凝らし、耳を澄ませて、その感動をありのままにお伝えしてきました。撮影は、5台の定点カメラを設置し行っています。人々が弾く曲も様々でポップスからクラシック、 映画音楽、シャンソン、アニメソングまで。自身で作曲したオリジナル曲などもあります。制作陣は、誰かがピアノの席につくたびに、「この人はどんな思いでどんな曲を弾くのだろう」とワク ワクしながら見守っています。派手さは全くありませんが、まるでその場で一緒に聴いているような、“静かな感動”をお届けできるよう努めていきます。